手足の痺れについて
しびれは感覚の異常を指しますが、患者さんが「しびれる」とおっしゃる時には、2つの異なる症状が含まれていることがあります。それは、力が入らなくなる「運動麻痺」と、正座をしたときに感じるような「感覚異常」です。どちらも同じ「しびれ」として表現されることが多いです。
運動麻痺については、神経の異常や筋肉が弱くなることで起こります。一方、感覚異常は、感覚神経の経路に障害が起こることで現れます。これらの症状は、脳や脊髄に問題があるときにも見られるため、気になる症状がある場合は早めに受診することが大切です。
手足の痺れが生じるとき
手足の痺れは、下記に示すような日常生活の場面でよく見られます。
長時間同じ姿勢でいる
肘や膝を曲げた状態を長時間続けると、神経が圧迫され、手足の痺れが起こることがあります。
重いものを持った後
重量物を持ち上げると手や腕に大きな負担がかかり、神経が圧迫されることで痺れが起こることがあります。
長時間歩いた後
長時間立つ、あるいは歩き続けた場合、足の血行が悪くなることで神経が麻痺し、痺れが起こることがあります。
夜中や朝目覚めたとき
特定の体位で寝ていると神経が圧迫され、夜中や朝目覚めた時に足に痺れを感じることがあります。
スポーツや作業をした後
部分的な筋肉のオーバーユースにより、神経に刺激が加わると痺れを感じることがあります。
冷えたとき
冷えると血管が縮み、血行不良となるため手足に痺れを感じることがあります。
ストレスがたまったとき
ストレスを受けると自律神経のバランスが乱れ、手足に痺れを感じることがあります。
手足が痺れる原因・疾患
手足の痺れを起こす原因となる疾患は下記のようなものが考えられます。
内科的疾患が原因のしびれ
糖尿病性神経障害
糖尿病による合併症で、小血管が動脈硬化を起こし、指先や足先にしびれが現れます。進行すると痛みが生じ、壊死して足の切断が必要になることもあります。
ビタミン欠乏症による神経障害
ビタミン不足により中枢神経や末梢神経が侵され、脚気やウェルニッケ・コルサコフ症候群などの神経障害が起こります。アルコール中毒や偏った食生活が原因になることがあります。
脳に原因のあるしびれ
脳出血や脳梗塞といった脳血管障害が原因でしびれが起こることがあります。脳皮質や末梢神経に障害が起こると、患部の反対側の手足にしびれが現れることがあります。視床に問題がある場合は、しびれに加えて強い痛みを感じることもあります。脳腫瘍の場合、進行とともにしびれや感覚麻痺が強くなることがあり、疑わしい症状がある場合は早急な受診が必要です。
脊椎に原因のあるしびれ
脊髄や神経根への刺激が原因となるしびれです。
変形性頚椎症
加齢により頸椎が変形し、骨棘ができることで脊髄や神経根を刺激してしまい、しびれを引き起こします。痛みや脱力感を伴うことがあります。
頸椎椎間板ヘルニア
椎間板が飛び出し、脊髄や神経根を圧迫することでしびれが生じます。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎の椎間板が突出することで、下肢にしびれが現れ、痛みや脱力感が伴います。
末梢神経に原因のあるしびれ
胸郭出口症候群
第一肋骨と鎖骨の間にある胸郭出口が狭くなることで、鎖骨下静脈や腕神経叢が圧迫され、上肢にしびれやだるさ、痛みが生じます。
手根管症候群
手首の手のひら側にある手根管が圧迫され、正中神経が刺激されることで手にしびれが起こります。特に起床時に症状が重く、手を動かすと和らぐことがあります。
手足のしびれの検査
問診
手足がピリピリする・ジンジンする・足の裏に紙が張り付くような感覚があるなどの症状の有無や程度を丁寧に確認します。また、下記についても伺います。
- 症状は両側あるいは片側にだけ起こっているか
- 手足のどちらから症状が起こり始めたか
- 症状は手足のどちらが強いか
- 症状の現れ方(突然症状が現れた・徐々に症状が現れた)など
血液検査
糖尿病が原因で症状が起こっているかを確認するために血糖値やHbA1cなどを測定します。また、ビタミン欠乏などの疾患が原因となっているかの確認も行うことが可能です。
画像検査
まずはレントゲンにて頚椎や腰椎の変形を確認いたします。骨の変形が強い場合や椎間板などレントゲンにうつらない部位の異常が疑われる場合は、CTやMRI検査を実施いたします。(CT・MRIが必要な場合は近隣の提携医療機関で実施いたします)
手足の痺れにお悩みの方はやぎ総合診療クリニックまでご相談ください
手足の痺れの原因は多岐にわたります。そのため、有効な治療を行うためには原因を特定することが必要です。手足が痺れる、あるいは痺れが慢性化しているなど、お悩みの症状があれば当院までご相談ください。